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特別講習会『個店の強みを生かす飲食店経営』〜景気回復時代に個店として勝ち残ろう〜
 景気は回復しているとは言え、我々の経営環境はまだ厳しい状況が続いています。これを乗り越える為に以下のようにQ&A方式で誌上講習を行います。
  参考にして顧客へのアドバイスにして下さい。
 
Q. 景気は回復したといわれておりますが、信じてよいのでしょうか。
A. 日本経済も長い冬が終わり景気は復活基調にあると言われますが、花に嵐の例えのように心配事は絶えません。例えば、
(1)金利上昇
(2)米国のバブル崩壊
(3)ドル安
(4)石油資源の価格高騰
(5)地理学的リスク拡大
などがあります。しかし、我々飲食業への直接的な影響は、
(1)BSEによる米国牛肉の輸入禁止の問題は、吉野家ディー・アンド・シー以外に、焼肉店にも大きな影響を与えております。
(2)消費地により景気回復が早いところ(東京や名古屋など一極集中傾向)とそうでない場所(例えば北海道地区などは相変わらず悪い)があります。
(3)景気も業種業態別に違います。例えば、自動車・鉄鋼・造船などの製造業、IT関連は極めて好景気です。
(4)我々飲食業の場合は社交業・飲食業・喫茶業・中華などの各業種に分かれていますが、他の業界(例えばカメラ・家電界など)でもボーダレス(各業種共通)時代になり業種・業界の境が無くなる傾向にあります。
(5)問題は消費が回復して売り上げが上昇すればよいのですが、しかし我々は消費者の変化や消費地の変化そして消費傾向の変化に対応しないと各個店の格差は拡大します。
(6)同様に大型チェーン店の傾向もよく分析すべきです。
Q. 消費者の変化で大きいのは何ですか。
A. (1)何と言っても団塊の世代が退職することは消費に大きく影響します。当然我々飲食業もこれからはこの人達に狙いを定める必要があります。
(2)同様に若年労働者の1割はフリーターです。少子化で人口は減少する一方ですから、どこに狙いを定めるかによって戦略も戦術も変わります。フリーターが1ヶ月に使う金額で大きいものは自分の趣味やレジャーなどで、娯楽以外では外食費が大きいのです。
  そして価格政策も二極化してきます。若者の感性を受け入れる店にするかどうかで店の売り上げも大きく変ります。フリーターやニートを如何にして自店の客層にするか否かも考えて下さい。
(3)問題はどの層に絞り込むかで、メニュー構成も客単価・商品単価も変わります。確かに高額所得者層は消費リーダーですが、別途このフリーターやニート層のことも考えたメニュー構成をして下さい。狙いをどの層に絞るかによって決まります。
(4)4月1日から移動中でも画像が乱れない地上デジタル放送「ワンセグ」が始まりました。「1億総ケイタイ奴隷」「1億総デジカメ」の時代です。
  これからは告知の方法も大変化します。例えば、株の取引がインターネット取引に変わり、手数料革命が始まったように、ネット社会では消費も大変化します。そしてコニカミノルタがフィルムから撤収した様に、ケイタイも消費革命を起こしました。
  我々もその変化を早く掴み、それに対応することです。それをいち早く着目し、メールを活用した顧客名簿の利用で成功した店も出て来ました。
Q. 我々の業界では実際にどんな消費変化が起っていますか。
A. 先程ボーダレスという事を説明しましたが、例えば喫茶店の例で恐縮ですが、喫茶業界でも大きな変化が起っています。
  例えば今迄若者達はスターバックスやドトールコーヒーの店に屯(たむろ)していましたが、しかし彼達は画一的な居酒屋や飲食・喫茶店では満足しなくなってきたのです。
  特に団塊の世代の人達はそうです。新宿に大正ロマンを再現した「椿屋珈琲店 新宿茶室」を創った東和フードサービスの岸野禎則社長は「駆け足で廻るハワイ旅行より、個室の露天風呂でゆっくりできる温泉がいい。そんなほっと出来るひと時を今の人は求めている」と言っています。彼はそのように確信して、直線を基調にし、木のような温かみのあるガラスの透明感が交錯するシックな内装が自慢の店を開店して成功しております。いわゆる「癒し」をコンセプトにしたのです。
  その店は新宿駅東口から程近いビルの2階(普通2階はあまりよくないのですが)に、昨年5月25日に開店しました。120人が入れる広い店内は50歳代のサラリーマンが目立ちます。全体が落ち着いた雰囲気の店でお客はくつろぎ、対話を楽しみ又商談をしています。
  ブレンドコーヒーは1杯840円で決して安くない価格です。店に配置している従業員・ウェイトレスも「お客様中心」の接客・接遇対応のプロとしての訓練を受けていますので店の付加価値も高くなっています。
  その付加価値を高める為にも岸野社長は、従業員室にはシャワーを設置し、出勤してきた従業員は先ずここでシャワーを浴び、身体を清潔にした上で接客させています。
  これこそ、従業員満足度(ES)=顧客満足度(CS)の実践です。
「自分の飲食店と喫茶店とは形態が違う」などとおっしゃらないで是非参考にして下さい。
Q. 消費の新しいキーワードは「LOHAS(ロハス)」と言われておりますが何のことですか。
A. これは、ライフスタイル オブヘルス アンド サスティナビリティ(Life styles Of Health And Susta-inability)で、「健康と環境を志向するライフスタイル」層のことです。
  前項にも団塊の世代のことを書きましたが、店舗改装の時などに是非「健康」「癒し」「おしゃれ」の感覚を取り入れて下さい。
  居酒屋などの売り上げが落ちたのは、画一的なメニューが消費者に飽きられたのが原因です。
Q. これからの傾向としてはどんな店が消費者に受け入れられているのでしょうか。
A. 独特なムードの鍋で羊肉や野菜を焼いて食べさせる北海道郷土料理のジンギスカンなども首都圏で人気になっています。ジンギスカンはBSE(牛海綿状脳症)のような感染症がなく、ダイエットに役立つ物質を含むのが理由です。「タスコシステム」やその系列店の「ヤマダモンゴル」などはジンギスカン専門の店として伸びております。
  このブームに火をつけたのは、東京の中目黒に2004年7月開店した「くろひつじ」です。この店はカフェ風の洒落た店舗で、一般的な焼き肉店よりやや値段が安いのも受けている要素の一つです。3年間で50店舗展開していますので一見の余地は十分にあります。
  羊肉にはカルニチン(アミノ酸の一種)が豊富に含まれ、極めて健康によいのはロハス現象です。
Q. 飲食店にもM&A(企業買収)が始まったのは何故ですか。
A. これは後継者問題が大きいですね。
  日本マクドナルドやスカイラークが全国チェーン展開に踏み出したのが1970年代で、同じ時期に30代〜40代で飲食店を始めた創業者が今60代〜70代になって引退期を迎えています。外食産業にあって店の規模を拡げるには自分の力だけでは成長が難しいと判断した創業者が、株式の売却に踏み切るケースです。
  しかし、それはある程度規模が大きく、多店舗化をしている店の場合です。
  一方、我々個店の場合は息子さんにバトンタッチして店を継いでくれる場合は幸せです。その場合は思い切って息子さんに任せるようにして下さい。
Q. 今後個店として勝ち残る為には、どうしたらよいのですか。
A. 1)先ず縮小均衡です。既に多店舗化をしている場合は、不採算店は早期に撤収して下さい。
2)メニューの絞り込みをして下さい。成功している店は先ず味、そしてメニューの再構成です。独自の料理を開発した店はそれが目玉商品になり、客を呼び込む要素になります。
3)マスコミの利用も大切です。特に料理番組に出ることは大切ですので、マスコミにもアプローチして下さい。店主の独自の料理法や目玉商品を宣伝・紹介することです。しかし、最大の宣伝は何と言ってもお客による「口コミ」です。
4)作戦としては市場の範囲を絞り込み、馴染み客をつくることです。
5)作戦には、(1)週末の来店客集客作戦 (2)パーティーの開催作戦 (3)女性客来店作戦 (4)家族連れ作戦 などありますが、来店されたお客には必ず次回の来店作戦として、自店独自のチラシを作成して「口コミ」をして貰うようにして下さい。
6)顧客管理作戦
  飲食店の最大の問題点は「客待ち」という「クモの巣戦術」の営業です。「蜜蜂戦法」に切り替えて下さい。顧客名簿が無くても街角でチラシを配る作戦もよいのですが、これにはお金がかかります。出来るだけアンケート用紙などを作成して顧客名簿を整備して下さい。電話作戦としては、御礼電話、お見舞い電話、お伺い電話などがあり、お客への深い馴染み客に対しては、別途「馴染み客作戦」を実施して下さい。
  私はこの作戦を実施して成功している店を多く知っております。この他にも色々ありますが、一番良い方法は店内での(1)魅せる温かい接客 (2)笑顔は最高の癒し などです (3)プロのサービスは、a 技術 b 知識
c 信頼 d 人脈 の4つです。
  生涯顧客はそこから生れ、父母・息子・孫の時代に至るまでお店のファンになるのです。そして料理のプロ、接客のプロの店は未来永劫に勝ち残り、繁昌するのです。大型チェーン店マニュアルの型通りの接客・接遇では駄目です。お客様を大切にする姿勢と笑顔・温かさを大切にして下さい。そしてお客様との対話を欠かすことなく、個性ある経営に徹して勝ち残って下さい。
「踏まれても咲く タンポポの笑顔かな」あなたのお店の美味しい料理とあなたの笑顔がお客様の幸福に直結するのです。皆さん、食文化の「勝ち組」になりますように頑張って下さい。
  ご健闘を心より祈っています。
■古賀 実(こが みのる)講師プロフィール
出身地 福岡県福岡市(博多)
略歴 早稲田大学卒業後、米国ハーバード大学に遊学する。その後、企業実務経験を経て、1960年コンサルタント業務に身を投じる。
1966年(株)日本コンサルティングセンターを設立し、いわゆる民間のコンサルタントを産業界に定着させた功労者である。そのコンサルティング領域は、飲食業界、流通業界、石油業界などを中心に、非常に広範囲に及んでいる
現職 株式会社日本コンサルティングセンター 代表取締役会長
フェニックス・クラブ主宰
催眠心理学研究所所長
全国飲食業生活衛生同業組合経営指導講師
全国生活衛生同業組合中央会顧問講師
全国石油協会各組合経営指導コンサルタント
主な著書 ●味なことをやるのにプロはいらない〜日本マクドナルド成長の秘密〜(プレジデント社)●セールスマンの読心術(電波新聞社)●飲食店成功の手引き(柴田書店)●やる気を引き出す暗示パワー(ダイヤモンド社)●人の採用ができなければ会社は潰れる(マネジメント社)●ガソリンスタンドの未来戦略1〜3(マネジメント社)●二世経営者の帝王学(現代書林)●カーディーラーの未来戦略(マネジメント社)●繁栄するガソリンスタンドのすべて(マネジメント社)●社交業の未来戦略(マネジメント社)●繁栄する外食産業のすべて(マネジメント社)●あんた一度死んでみんしゃい〜無から生じて無に帰る〜(発刊 ザメディアジョン) 
連絡先:(株)日本コンサルティングセンター TEL03-5358-3623
 
 
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