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●古川英夫プロフィール
1956(S31)年6月佐世保市生まれ。
1979(S54)年3月一橋大学経済学部卒業。
都市銀行・コンサルティング会社を経て1991(H3)年1月 (株)オンリー・ワン設立。
これまで全国45都道府県(残るは香川、大分)に亘り、約450の企業・団体で診断・指導・教育に従事。
特に「経営ドック」という経営幹部研修はユニークで注目されている。そのほか講演・執筆も多数。 |
今回は新「会社法」についてお話ししたいと思います。これまで会社法という名前の法律はなかったのですが、今回正式に会社法という名前の法律が出来ました。以前は商法の他に有限会社法・商法特例法などバラバラだったのですが、一本化しようということで今回、会社法が成立する事になりました。
今回の改訂理由は、今までのものが古くなったという事。2番目に経済停滞が考えられます。バブル崩壊後15年くらい経ちますので、会社を新たに興すために、出来るだけ安く・早く・楽に出来るようにし、経済活性化をさせようという狙いがあるというわけです。3番目は、企業同士の連携をし易くするということです。今回新たに合同会社という会社形態が出来ました。今の合名会社・合資会社加えて合同会社というのが一つ増えたということです。あと4番目に決算書の信頼性確保。これが話題になるという事は裏返せば、決算書というのはあまり信用されていないということになります。そこで信頼性を確保するために、会計参与という新しい制度が取締役や監査役等とは別に、機関として新設されたということです。このような理由、背景で会社法が出来ました。
具体的に今回の法律を見てみますと、まず株式譲渡制限会社とありますが、これは株式の譲渡制限をするかしないかで規定が色々分かれてきます。この株式譲渡制限会社とは、全ての株式の譲渡について会社の承認を必要とする旨の定めを定款においている株式会社の事です。中小企業は大体譲渡制にしていると思います。譲渡制限する時は株主総会特別決議を経て、定款にきちんと記載して登記事項としなければなりません。
次は会社法の特長の目玉、資本金が1円でもよくなったという事です。1円でいいと言っても、実際そんなことは出来ません。しかし手続き上はそれでも構わないということです。お金が無いから会社が作れないという事が無くなったという事です。
次に類似商号規制の廃止。旧法では同じ市区町村内で同じ事業目的で同じ名前、混同しやすいものも含めて、この3つが揃えば登記出来ませんでした。これが新法では、実質的に規制が無くなったと同じことです。では、何でも自由になったかと言えばそうではありません。不正競争防止の適正という事で、誰もが知ってるような大会社の名前、例えばトヨタ・ニッサン・松下をそっくりそのまま真似して会社に付けたとなると、これは不正競争防止法で規制を受けます。不正競争の目的があって、同じ名前で実際に誤認混同が生じて、この3つの条件が揃ったら、被害を受けた方は、使用差止め請求や損害賠償請求が出来るという事です。
次に、払込金保管証明書の不要。これも設立にあたっての障害だったのですが、新法では、発起設立の場合に限り、残高証明書でよくなりました。これはすぐ出してもらえます。
ここで設立の流れを確認しますと、まず発起人を決める。2番目に類似商号を調査するという事がありましたが、これがほとんど不要になったという事です。3番目の基本事項を決める。商号とか会社の事業目的、本店所在地、こういうものが基本事項です。4番目、代表印を作る。5番、定款を作成する。6番、公証人の認証を受ける。実はここで印紙税が4万円、認証費用5万円、全部で9万円掛かります。7番、引受株主数を決める。8番、出資金を払い込む。9番、株式払込金保管証明書を発行してもらう。ここで発起設立の場合は残高証明書だけですみます。10番、取締役会を開催する。11番、設立時の申請。法務局に申請するわけですが、登録免許税が必要です。そしてやっと会社設立です。設立後に税務署、関係官庁に届け出をする。こういう流れになっています。
次に基幹設定について。会社の基幹というのは、まず株主総会。これは全ての株式会社で必要です。今は取締役1人でも株式会社が作れるようになったわけですが、形だけでも株主総会というのは設置しないといけません。取締役については、旧法では3人以上だったんですが、改正で最低1人でも良くなりました。監査役は、旧法では必ず作らないといけなかったんですが、譲渡制限会社では任意です。監査役会は、中小企業ではほとんどありませんが、大会社では必ず設置する事になっています。会計監査も、大会社では必ず設置しなければなりません。会計参与は、今回新たに出てきたんですが、全ての株式会社で任意となっています。
さて、株主の権利についてですが、まず議決権を有するということです。利益の配当、役員の選任、解任権。株主の資格は1株でも良いですが、濫用を防ぐために6ヶ月以上株主でいないといけなません。
次に取締役と監査役についてですが、取締役とは部長の延長ではありません。会社の場合、主権者は誰かといったら株主です。最近、会社は誰の物か、社員の物かとか、色々議論がありますが、法律的には一応株主の物なのです。だから株を取得したらオーナーとしての発言権があります。株主が株主総会で取締役を選任し、取締役は取締役会で一人代表取締役を決めます。代表取締役、つまり執行取締役の下に部長や社員がいるわけで、部長は代表取締役である社長が決めることになります。サラリーマンにとっては部長の次が取締役という感覚があると思いますが、根本的に違います。取締役は悪い事をすれば株主から損害賠償責任だ何だと言われますから、大変な責任があります。部長はそこまではありません。これを国の立法と比較してみますと、国の場合、主権者は国民です。国民が選挙で国会議員を選ぶ。国会議員は国会で内閣総理大臣を決める。内閣総理大臣は大臣や長官を決めます。その下に次官がいる。官僚のトップは事務次官です。事務次官は会社に例えると部長です。いくら官僚のトップと言っても、官僚のトップと国会議員、全然根本的に違います。次官の下にその他大勢の役人がいる。ここまでが行政です。国会議員が国会で法律を決める。取締役、取締役会で色々な事を決める。これが立法で、ここから下が行政です。もう一つ司法ですが、国の場合、司法と言えば裁判所です。そのトップが最高裁判所です。これに該当するのが会社でいうと監査役です。こうしてみると会社の組織と国は全く同じです。つまり取締役になったら、本当は大変な責任を負うことになり、部長とは根本的に違います。危ない会社で下手に取締役になると、色々責任を追求され、かえって大変な事があるかもしれないということです。
このように、会社法は国政の様に見ることができます。
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